拡がる視野
最近英会話学校に通い始めた若い日本人女性のせりふです。「やっぱ、アメリカね。アメリカに住みたいわ。だって自由だし、開放的だし、それに…」
- 典型的な「隣の花壇は…」状態です。自国からまだ出たこともなく、単純な「英語=アメリカ=自由・開放的」の図式からくるコメントでしょう。私から見ると、日本みたいに野放図とも言えるほど自由な国に住んでいて?と思います。アメリカはある意味自由な部分もありますが、ある意味日本よりも自由に関して厳しい面の方が多いと思います。また地域にもよりますが、日本のど田舎よりも閉鎖的で保守的なところは沢山あります(ひらたく言えばカッペです)。ただそれがまだ見えていないだけなのです。
- また、自国の文化だけにどっぷりと浸っていると、その悪いところだけが目につきます。日本の良さをなかなか身をもって認識できません。日本ほど細やかに行き届いたサービスを提供してくれる国はなかなかありませんし、日本ほどorganizeされた環境もこれまた滅多に海外でお目にかかれるものでもないのです。未だに海外から帰国し空港を出てタクシーに乗った瞬間にこれを感じます。社内の綺麗さ、車のNVH、舗装の状態、レーンのペイントの白さ、周囲の建物の整然とした感じ、整然とした運転のマナー、それらが相まって未だに強烈なインパクトです。
- 外資で働くということには、当然良い面・悪い面があります。私が個人的に非常によい点だと思うのが視野の拡がりを感じるということです。海外資本の会社で働くわけですから当然本社の意向が経営の方針に色濃く反映されます。そして我々、日本人の社員も否応なくそれに触れます。そうすると他国から見た日本、他国から見たアジア、他国から見たそういう地域での戦略がどういうものなのかが身をもって経験できます。もちろん、おうおうとしてそれらはあなたの認識とconflictします。
- そしてそれらは自ずとあなたの視野を拡げます。それを迎合するという意味ではありませんよ。「違う」ということの認識です。また自分の中で違いに対するtoleranceの拡がりを感じるようになります。
- そうすると今まで日本の中で自分が当たり前だった認識や意識が、実はglobalには全然当たり前でなく、とても日本ユニークのものに見えてきます。とても新鮮な感覚です。そして長い時間を通して、そんな拡がった世界が今度は自分の中で当たり前になってきます。私はこれがいわゆる国際感覚のひとつなのではなかろうかと思っています。
- そんな感覚は、例えばアメリカに住みたい彼女がアメリカのある地域に根を下ろして住んだとしても得られるものでは無いものです。むしろ多国籍の文化がぶつかりあう外資の会社のほうが遙かに、ある意味「自由で開放的に」接することが出来ます。
- 私はこれは外資で働くことの良さのひとつだと思います。